第88回アカデミー作品賞『スポットライト 世紀のスクープ』感想

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http://spotlight-scoop.com/より引用

アカデミー作品賞『スポットライト 世紀のスクープ』やっと観ることが出来ました。

地元の映画館というかイオンじゃぜーんぜん上映しないんですよね。
邦画や話題と大作ばっかりじゃくて、せめて作品賞取るような映画くらいは上映して、どうぞ。

そんな訳でド田舎の島根から片道3時間、広島まで車を走らせてきました。

先に結論を言ってしまうと、とても面白かったです。
持病の腰痛が悪化しようがなんのその。
遠出した甲斐があったってもんです。

という訳で、『スポットライト 世紀のスクープ』レビューしたいと思います。

映画『スポットライト 世紀のスクープ』予告篇

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スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight

簡単な概要

原題は『Spotlight』です。

この映画に限らず、邦題に安っぽい副題みたいなのが付けられる風潮って何なんでしょう?
『スポットライト』だけで良いと思うんですが……。
まあいいや。

スポットライト 世紀のスクープ』は実在するアメリカの新聞、『ボストン・グローブ』の特集記事『スポットライト』欄の担当チームが追った、カトリック教司祭による性的虐待事件の一連の顛末とその報道までを描いた作品です。
なんと実話だそうです。
第88回アカデミー賞にて、作品賞、監督賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の6部門にノミネート、うち作品賞脚本賞を受賞しています。

事件の被害者が出てきてからが本番

最初は正直退屈でした。
法律的な話題と状況説明のセリフが多く、長時間の運転で疲れていることもあってか情報を頭で整理しきれません。
作品賞と脚本賞取るくらいの作品なのだから、最初から面白いに違いないと思っていただけに、拍子抜けだな~と思いながら見ていました。

目蓋が重い、そろそろ寝落ちするかもしれん……。

睡魔に耐えながら、必死の鑑賞を続ける私の前に、とある人物が登場します。
その人物の名は、パンフレットによると『フィル・サヴィアノ』、聖職者虐待被害者の会のメンバーです。
彼は自分の受けた虐待をスポットライトチームに語り、そして物語が一気に動き出します。

この人がスクリーンに登場した瞬間、私は思いました。

あ、この映画おもしれえぞ。

その後は食い入るように鑑賞しました。

次々に明らかになる、神父達による虐待の数々。
組織ぐるみの犯罪隠蔽の実態。
立ちはだかる権力や世論の壁。

想像を超える事態にも屈することなく、スポットライトチームは真実を求めて奔走します。
息つく暇もありません。

そして、これが実話であることにただ驚くばかりです。

「これは肉体だけでなく、精神への虐待だ」

この作品がジャーナリズムを題材にした映画だと知ってまず想像したのは、もっとセンセーショナルな雰囲気です。

「神父虐待!背後には組織の隠蔽工作が!?」みたいな感じで、華々しく号外が乱舞するような。
そういう映画を想像していました。

実際は、靴底をすり減らし、時に拒絶されながら、それでも自分達の行いが正義に基づくものだと信じて取材を進めるジャーナリストの姿が描かれています。
映像的には非常に地味な映画です。

しかし、それを感じさせない手に汗握るストーリ展開はとにかく素晴らしい!
流石は『脚本賞』です。

スポットライトチームは取材を進めるうちに、虐待で人生を歪められた被害者達の悲痛な叫びを聞くことになります。

彼等は語ります。
言葉で。
身振り手振りで、或いは慟哭を以って。

「これは肉体だけでなく、精神への虐待だ」

スポットライトチームの面々もカトリック教徒であり、自分たちが今まで信じてきたものに裏切られた苦悩や、見て見ぬ振りをしてきてしまった故の後悔、「もしかしたら自分も……?」となる描写もまた、非常に印象的でした。

『問題のある神父』は統計的に6%は居ると、この作品では言及されており、スポットライトチームが突き止めた事実は、この数字とほぼ一致するものでした。
このスクープは体制側に問題を提起し、改善を促しはしたのだろうと思います。
しかし、結局のところは異常な人間性が引き起こす問題であり、未来永劫根本的な解決は望めないのではないか。

そんな事を考えてしまいました。

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劇中の証言者の悲痛な訴えはあまりに重い……。

まとめ

とても面白く、重く、そして興味深い映画でした。

ストーリーの根幹に宗教への信仰があるので、日本人の私には本当の意味でこの作品を理解するのはなかなかに難しいことなのかもしれません。
それでも、報道とは?ジャーナリズムとは?を考え直すには十分な内容だったと思います。

情報量が多いので、出来れば吹き替えでも鑑賞したい作品です。
ブルーレイなら収録されるでしょうか。
ソフト化を楽しみに待ちたいと思います。

実は私、映画好きを自称していながら、こういう洋画を観たのは初めてです。
映画を見始めたのは最近なものですから、洋画はワーナーだとか20世紀しか知らないような、にわかなんです。
なんとも勿体無い事ですね。

視野を広げるキッカケを与えてくれたという意味でも、『スポットライト』は思い出深い作品になりそうです。

以上、第88回アカデミー作品賞『スポットライト 世紀のスクープ』感想 でした。